メルカリ再起動にむけて

3万株を保有するアクティビスト個人投資家
田端信太郎からの提案

mercari REBOOT
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動画解説

About "mercari REBOOT"

メルカリ再始動にむけた本提案の骨子

メルカリ社、および創業者の山田進太郎氏のREBOOT(再起動)に向けて、個人株主である田端信太郎(2024/4/24時点で3万株保有)より、下記の提案をさせていただきます。

US事業撤退という勇気ある決断を。

US現法設立から10年。営業損失合計が700億円に達してもGMVシェアが2.6%という現実を見つめ経営リソースの選択と集中を望みます。

無配を改め、株主還元を。

上場時から続けてきた無配を改め、1株利益に対し30%程度の配当を開始する株主還元を求めます。

メルカリ社の再始動に向けた提案骨子



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長期に渡り、下落を続けるメルカリ株価

メルカリ社の株価は長期に渡って下落を続けています。2024年4月19日の株価は1,730円。2021年11月22日の上場来高値7,390円と比較すると下落率は76%です。IPO時の公募価格3,000円も下回っています。

さらに2024年に入り加速しています。日経平均株価が歴史的な高騰を見せる中でも、メルカリ株は下降を続けています。2023年12月29日の終値と24年4月8日の終値を比較した下落率は29.8%。年初からの株価の下落率は、メルカリが最大であると日本経済新聞(2024年4月10日)でも指摘されています。

メルカリ株下落の最大要因はUS事業の不振
10年で700億円の赤字を出し、シェアはわずか2.6%

日本国内におけるシェアは70%と、いまや日本でその名前を知らない人はいないほどの知名度と圧倒的なシェアを誇るフリマアプリ「メルカリ」。
ところが、順調に成長する国内事業の足を引っ張っている存在がある。それがアメリカ事業だ。メルカリの創業は2013年。その翌年の2014年にはアメリカ法人が設立された。世界展開の足がかりと位置づけられてきたものの、業績は伸びていない。米国法人の設立から10年が経ち、赤字額は700億円(2017年6月期からの営業損益を単純合算)にも達する。

また、WWDによる調査によると、メルカリの米国内でのシェアはわずか2.6%。Facebook MarketplaceやeBayに大きく後れをとっている状況だ。

GMV(流通取引総額)は下降トレンド

メルカリの決算説明資料によると、US事業のMAU(月間アクティブユーザー)は四半期連続で上昇。ただし「見ているだけのユーザー」が増えるだけでは意味がない。そこで最重要KPIであるGMV(流通取引総額)を注視し、MAUとGMVから、ユーザー一人あたりの取引額を算出した。コロナ禍で一時は上昇したものの、それをピークに下降トレンドは3年続いている。

ではなぜ、メルカリのUS事業は今も続いているのか?

赤字が膨らんでいる上に、これから取引が活性化しシェアが拡大する兆しも見えていないUS事業をメルカリが続けているのは、CEO山田進太郎氏の肝入りの事業だから、である。山田氏は初期から「メルカリのUS版をつくる」「アメリカにこだわる」と発信してきた。彼の夢は世界中で使われるサービスをつくること。アメリカで勝てれば、世界で勝てる。そんな夢と熱意が込められた事業なのである。


その想いは、素晴らしいものだと思う。しかし、結果はどうなのか?

投資家たちがメルカリUS事業を見る目は冷ややか

実際、投資家たちがメルカリを見る目はかなり厳しいと言わざるを得ない。モルガン・スタンレーMUFG証券 エグゼクティブディレクターの津坂徹郎氏は、「10年たっても勝ち筋を示せていない。撤退すべきだと考える投資家が多い」と語っている。

なお、津坂氏は2022年1月(メルカリの株価が上場来高値を記録していたころ)には、メルカリの目標株価を8,000円とした上で「今後、株価を左右するのは米国事業の成長率の上下だ」と指摘していた。現在のメルカリの株価下落は、米国での成長を信じていた投資家たちが裏切られた結果と言えるだろう。

販売手数料ゼロという起死回生策も・・・

もちろんメルカリ側も、US事業をただ放置しているわけではない。起死回生のためにこの4月からは「販売手数料ゼロ」として、取引の活性化を狙っている。このキャンペーンの成果は次の決算での発表になるため、現時点ではまだ分からないが、公開情報をもとにした合理的な推測によると、うまくいっているとは言えない状況である。

行くも地獄、退くも地獄

US事業について、現在のメルカリは無駄な投資をせず、コストカットをしながら耐える方針のようだ。今はまさに「行くも地獄、退くも地獄」。頂上を目指すことも、麓に戻ることもできず、山の中腹で猛吹雪に耐えながら、食糧を減らさないようになんとか耐えている、といった状態だろうか。とはいえ、すでに赤字のフリマアプリが、そのままじっとしていてもシェアが広がるわけではない。このままでは赤字を垂れ流し、ジリ貧であることは目に見えている。

山田CEOの事業姿勢に懸念はないのか?

大量保有報告書によると、山田CEOは複数の金融機関と質権設定契約を交わし、合計で2950万株のメルカリ株を担保に入れている。なお、大量保有報告書から分かるのはそれだけのメルカリ株を質権設定した、という事実だけであるが、株価の値動きと担保契約の日付などから推察するに、借金を借金で返すような状況に陥っている可能性が見えてくる。

取締役会では健全な議論がなされているのか?という疑問

今回メルカリ社に対して私が指摘していることは、開示情報と合理的な推測だけで十分可能なものである。ところが、今のメルカリの現状を見ていると、取締役会で山田CEOに接している取締役、特に、社外株主の利益を代弁するために存在するはずの社外取締役が、こうした指摘をできておらず、取締役としての役割を全うできていないのではないか、と思わざるをえない。

6名の社外取締役のうち5名が持ち株ゼロ。

メルカリには10名の取締役がおり、そのうち6名が独立・社外取締役である。そしてその6名のうち5名がメルカリ社の株式を1株も保有していない>。株も保有していない社外取締役には、株主の利益を代弁するインセンティブも、株価下落の痛みもないのではないか?


山田CEOおよびメルカリ経営陣への提案


US事業からの撤退

アメリカ法人設立から10年。すでに累積で700億円もの赤字が続いており、今後の起死回生も見えていないという現実を見つめてください。上場以来のこだわりを素て、US事業撤退という勇気ある決断を望みます。

そして、4月16日から全国展開がはじまった「メルカリハロ」に経営リソースを集中し、競合であるタイミー社を逆転することに全力を注いでいただくことを求めます。

仮にUS事業を続けるのであれば、US事業の責任者であるジョン・ラーゲリン執行役員SVPを解任し、山田CEO自らがUS事業に直コミットすべきと考えます。6年も成果のない幹部を放置している山田CEOの任命・および監督責任は極めて大きいと言わざるを得ません。

配当性向30%での配当開始

上場時から続けてきた無配を改め、1株利益に対し30%程度の配当を開始する株主還元を求めます。長期にわたる株価下落により、CEO山田氏の持ち株担保での融資は、すでに最初の2回(野村信託銀行と大和証券から)の融資については、株式の時価が担保評価を割り込み、追加担保の差入で担保不足を解消する事態となっていると推察されます。

業績不振に加え、万が一の金融ショックも有り得ます。さらなる株価下落を招かないためにも、株価回復に向けてのシグナリングとして配当開始を求めます。

株主総会のハイブリット開催への変更

現在、メルカリ社では株主総会を完全オンラインで開催していますが、バーチャルのみの株主総会はISSも株主軽視であると明言しています。リアルとオンラインのハイブリッド開催への変更を求めます。



なお、私、田端はこの4月中旬に3万株購入したため、2024年9月28日に開催予定の株主総会では、6ヶ月継続保有の要件を満たさず、株主提案はできません。本提案と株価回復が実現しないのであれば 今後、 2025年9月の総会での株主提案も視野に入れて状況を注視します。

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動画解説

Shintaro Tabata

田端 信太郎

経営者へのリスペクトを忘れない!
愛と誠のアクティビスト。

1975年石川県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。 1999年にNTTデータへ入社。リクルートに転職しフリーマガジン『R25』を立ち上げる。2005年にライブドアに転じ、その後 執行役員メディア事業部長として経営再生をリード。VOGUE/GQなどのデジタル事業をカントリーマネージャーとしてコンデナスト社で統括し、2012年からは、当時のNHN japanに入社し、その後、LINEの上級執行役員として上場前後の法人ビジネスを統括。

2018年から前澤氏の招聘でスタートゥデイ(現ZOZO)執行役員・コミュニケーションデザイン室長として広報ブランディングの責任者を勤める。2019年末にZOZOを退社。現在は、さまざまなベンチャー企業数社のマーケティングやPRの顧問を務めながら20年来の個人投資家としても活動

X(旧:Twitter) :フォロワー35万人
YouTube :チャンネル登録16万人

■主な著書
『自分を探すな、世界を見よう』マガジンハウス、2023年
『これからのお金の教科書』SBクリエイティブ、2020年
『これからの会社員の教科書』SBクリエイティブ、2019年
『ブランド人になれ!』幻冬舎、2018年
『MEDIA MAKERS 社会が動く「影響力」の正体』宣伝会議、2012年

田端信太郎
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